のどぼとけのすぐ下にあり、体の成長発育やエネルギー代謝に必要なホルモンを作る大切な器官です。
甲状腺の病気は大きく分けて2つです。ホルモンが出過ぎる「機能亢進症」と、適正に出ていない「機能低下症」です。
機能亢進症の代表的な病気が、バセドウ病です。
バセドウ病は、抗TSHレセプター抗体が甲状腺に作用し、甲状腺ホルモンを過剰に分泌するために起こります。
主な症状は、動悸・息切れ、暑がり・発汗増加、全身倦怠感、手のふるえ、イライラ、食べても太らないなどです。また、眼球突出や甲状腺全体のはれが出ることもあります。
治療としては、基本的に(1)薬物療法、(2)手術療法、(3)放射性ヨード療法などが行われています。日本では薬物療法が一般的です。
橋本病は慢性甲状腺炎ともいわれ、甲状腺に対する自己抗体ができて、甲状腺が破壊される病気です。
主な症状は、甲状腺腫(甲状腺が大きくなる)と甲状腺機能低下症による症状(寒がり、皮膚の乾燥、むくみ、疲れやすさ、便秘など)です。ただ、すべての人が機能低下症になるわけではなく、機能低下症になるのは一部の人だけです。
甲状腺機能が正常なら治療は不要ですが、定期的な検査は必要です。機能低下症があれば、甲状腺ホルモン剤を内服で補充します。長期に服用する必要がありますが、甲状腺機能が正常に維持されていれば、健常者と同じ生活を送ることが可能です。